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生涯現役で働ける体を目指して


働き手の不足が深刻になりつつある。このまま手をこまねいていれば、毎年1000~5000社ずつ、日本から企業が消え続ける可能性もあるという。一方で、定年退職後の高齢者を活用した新しい働き方を導入する企業も増えている。三菱総研の奥村隆一主任研究員に「働き方」のこれからを解説してもらった。

「定年制」がなくなる

「定年制」は我が国では明治時代から導入されたものだが、海外に目を転ずれば必ずしも当たり前の制度というわけではない。たとえばアメリカでは、高齢者であることを理由に雇用しないことは「年齢差別」に当たるため、原則として「定年制」は存在しない。「年齢制限禁止法」という法律があり、企業規模20人以上の使用者は、年齢を理由に雇い入れ、解雇、賃金、昇進、労働条件等に関する差別をしてはならない。日本では年金支給開始時期の延長と連動して定年が延長されてきたが、いずれアメリカと同様に定年制そのものがなくなる時代が来るかもしれない。

働きたい人が働き続けられる社会をめざして

ILO(国際労働機関)は「働きがいのある人間らしい仕事」を意味する「ディーセントワーク」を提唱している。定年がなくなり、生涯、健康で意欲的に働き続けられる社会が到来したら、人生(ライフ)と仕事(ワーク)は限りなく一体化する。より一層、「ディーセントワークの実現」が国の重要な政策課題の一つに位置づけられるようになるに違いない。

 「働く」ことは国を支え、企業を成長させるために不可欠である。しかし、働くことが結果的に国や企業を支えることになったとしても、人は一義的には国家や企業のために働くわけではない。本来「働く」ということは、社会とつながりを持ちながら一人ひとりが自分らしく生き、自分の生活と人生を豊かにする営みであるはずである。

 年齢の制約がなく、働きたいと思う人が働き続けられる環境が今後ますます広がっていくことに期待したい。

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